前回の記事で基本的な3Dslicerの使い方を説明しました。

今回は、3DSlicerを使ってボリュームレンダリングをしたいと思います。

サーフェスレンダリングとボリュームレンダリング

CT・MRIを扱うソフトには、基本的にボリュームレンダリングとサーフェスレンダリングという2つの機能を持っています。2つとも、3Dをつくるという点では共通しているのですがやっていることは全く異なります。

サーフェスレンダリングというのは、境界を決めて内側と外側に分けることをしています。境界を決めるところが難しい点です。特に、コントラストが低い部分は境界不明瞭なのでマニュアル操作が必要になります。同じCT値を使ってある程度自動で境界を選択することはできても、結局はマニュアルで、ここは境界内部だよとか、ここは外部だとパソコンに教える必要がでてきます。ただ、境界を決めてしまえばSTLファイルといって、3Dソフト共通の形式として保存することができるようになります。Unityで扱ったり、CADソフトで設計もできます。

一方、ボリュームレンダリングは、ただ単にグラフの表現の仕方です。CTから得られた3次元のピクセルデータを、3次元に表示するだけです。ただ、点が透過性を持っていないと、外側から見ると表面(直方体の表面)しか見えないことになってしまいます。そのため、点に透過性を持たせるのです。透過性を持つことにより内部構造が見えます。その点の透過性はCT値を使って決めます。そうすると、同じCT値をもった骨や、血管などが浮かび上がって見えます。これは見えるだけであって、境界のデータを持っているわけではありません。そのためボリュームレンダリングは、STLファイルに保存することはできません。ボリュームレンダリングを外部のソフトに渡すということはできない・難しいということになります。

ボリュームレンダリングをVRゴーグルで見る

ボリュームレンダリングをVRゴーグルで見たいという場合には、3Dslicerの場合はSlicerVirtualRealityという無料アドオンを使います。持っていないので、体験したことはないですがVRゴーグルを接続すれば、ワンクリックでVRがみられるそうです。Osirixにも、streo 3D renderingという機能があるようです。

チュートリアル(肺のボリュームレンダリング)

上のプルダウンから、volume rendering を選択します。

左側にvolume renderingの設定パネルがでてきました。

volumeは、ボリュームレンダリングを実施したいシリーズを選択してください。その左の目玉のマークを押して、目が開いている状態にしてください。

3Dビューワーの左上の太陽みたいなやつのマークを押してください。

ボリュームレンダリングの結果が現れました。

Presetを選んで、透過率と色を変えてみたいと思います。select a presetを押してください。

様々なプリセットを選べます。

1つ選んでみました。骨と血管がよく見えます。

ほかのものも選んでみました。内臓がよく見えます。

それでは、肺を見てみたいと思います。CT-airを押します。すると、空気のCT値(-1000程度)の透過性がなくなります。すると、長方形のようなものが現れました。肺と、体の周りの空気が見えています。肺を掘り出したいと思います。

CropというところのDisplay ROIのよこにある目玉を押して、目を開いた状態にしてください。

すると、白い長方形のフレームと、真ん中に3つの線分が交わったものが現れました。3Dビューにも、横断面、sagital、coronalのビューにも出てきました。球をドラッグすると、ROIを動かしてクロップすることができます。

ROIが四角いため完全に体の外部の空気を消すことはできませんでしたが、だいたい肺を露出することができました。

tips: shiftを押しながら3Dの画面上でクリックすると、他のビューがクリック場所のスライスに移動する。

ボリュームレンダリングは以上です。

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