全国でコウノトリ、トキ、タンチョウやツル等様々な鳥が様々な理由から保護されています。時折、足が切断されてしまっている鳥が発見されることがあります。犬猫の義足は、すでに市販されているものがありますが、鳥のものはありません。

野生動物の義足は、獣医師が自ら作る必要がありそうです。今回は、鳥の義足を作ってみます。使用するソフトは、3D slicer、meshmixer、360 Fusionです。

保護している動物が室内にいればPhotogrammetryを使って3Dモデルを作ることができます。今回はCTデータから3Dモデルを作って義足を作成してみたいと思います。

使用するDICOMデータ

山階鳥類研究所の標本データを使用します。ここの鳥類のデータベースは素晴らしく、CTデータまで公開されています。今回は、シロハラクイナというツル目の鳥のデータを使用します。

3DSlicerでSTLファイルを作成

まず、3DSlicerを使ってデータを読み込みます。3Dslicerの使い方は以下の記事に書きました。ボリュームレンダリングを実施して、どんな形をしているか見てみます。

CT-MRI等のDICOMビューア3D Slicer(無料)の使い方

CT-MRI等のDICOMビューア3D Slicer(無料)の使い方 その2 | 獣医 x プログラミング (jpn.org)

骨だけsegmentationを行い、STLファイルとして書き出します。足が、内側におり曲がっているのが少し残念です。

鳥の足の構造

鳥の足は基本4趾からなります。第1趾が後ろにあり、第2、3、4趾が前にあり着地します。手のひらが完全に着地する鳥も、手のひらが着地しない歩き方の鳥もいるようです。

MeshMixerで開く

股関節から下を取り出しました。

左足が切断されていたという仮定で義足を作ります。モデルを編集します。

360Fusionを使って義足を設計

基本的な作り方は以下に書きました。

口腔内腫瘍下顎骨切除のオーダーメイドプレートの作り方 | 獣医 x プログラミング (jpn.org)

メッシュを挿入し、Brepにします。作業面を作成しスケッチします。スケッチ後、ロフトでスケッチをつなぎます。

骨の断面が義足のソケットに入るようなデザインにしようと思います。

出来上がりました。

右足の手のひらが、着地すると思われる位置にボールを付けました。足の断面との接合部は摩擦だけでは外れてしまうと思うので実際には、テープ等での固定が必要になると思います。

3Dslicerで義足と体を合わせてみる

やり方は以下のポストに書きました。

設計したプレート(STLファイル)とボリュームレンダリングを同時に表示する方法 | 獣医 x プログラミング (jpn.org)

ボリュームレンダリング結果と義足を重ねてみます。

足の骨の重なりがうまくいっているか確認します。徐々にボリュームレンダリングのスレッショルドを上げていきます。

軟部組織と干渉がありそうです。これは、骨のSTLから義足を作成したためだと思われます。次回、改善すべき点としてメモっておきます。

義足を作る際には、骨のSTLから作成しないこと!

骨のSTLを使用する場合には、マージンを取っておかないと軟部組織と干渉する!



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