前回の記事

前回の記事で、photogrammetryから手のモデルを作りました。今回は、そのモデルからギプス(副木)を作成してみたいと思います。

今回作成してみるのは、人差し指の骨折等で不動化させる目的のギプスです。

注意:
・この取組みは思考実験です。臨床での実証実験は実施していません。
・私は3Dプリンターを持っていないので、実際に3D印刷して使用したことはありません。

  1. MeshMixer

    1-1手のobjファイルインポート
    1-2スムース化
    1-3いらないところを削除
    1-4ソリッドモデル化
    1-5モデルの修正
    1-6モデルのエクスポート

  2. Blender

    2-1手のobjファイルインポート
    2-2円柱を作成
    2-3円柱と手でブーリンアン演算
    2-4円柱をカット
    2-5モデルのエクスポート(完成)

このチュートリアルでは、MeshMixer(version3.1)とBlender(version2.90.1)を使用しています。大まかに役割について説明すると、MeshMixerでは、張りぼてのような手のモデル構造を中身の詰まった形にします。Blenderでは、ギプスとなる円柱を作成し、手のモデルと合わせて形を削ります。

MeshMixerはAutoDeskが作っている無料ソフトです。以下からダウンロードできます。
https://www.meshmixer.com/japanese.html

最初に、私は3DF Zephyrで作成した手のobjファイルをそのままBlenderに取り込んで円柱と合わせて、合わさったところを削ろうと思いました。しかし、3DF Zephyrで作ったモデルは手の表面だけの張りぼてで、腹の部分がちぎれています。そのため、円柱と合わさるのは張りぼての部分だけです。これでは、円柱を削ることができませんでした。こういった理由からBlenderの前に、MeshMixerで中身の詰まった形にする必要があります。

なお、MeshMixerを使う際にユーザー名が日本語だと落ちました。英語のユーザー名を作成して、かつMeshMixerの使用言語を日本語ではなく英語にしたらうまくいきました。

1MeshMixer

1-1手のobjファイルインポート

MeshMixerを開くと以下の画面がでてくる。importを押すか、3DF Zephyrで作ったobjファイルをドラッグ&ドロップする。

すると3DF Zephyrで作った手が出てくる。

1-2スムース化

表面がぼこぼこなので、スムースにしたい。左の矢頭、Selectというところを押す。

そして、Cntrol + A で手を全選択する。すると、左のパネルに選択できる項目が出てくる。

DeformからSmoothを選択する。

手がすべすべになりました。

1-3いらないところを削除

小指側の手のひらにいらないところがあります。気になってしまいました。削除します。さきほどと同じように左側の矢頭の選択を押します。そして、左クリックのドラッグでいらないところに線を引きます。

すると、線にそって範囲が選択されてオレンジになりました。オレンジの部分を消すためにDeleteを押します。

消えました。

1-4ソリッド化

色々、冗長なことをしてしまいました。今から実施するソリッド化が、MeshMixerを使う目的です。他のは、いらないといえばいらない工程です。左のパネルからEditを押して、Make Solidを押します。すると、以下の中空張りぼて構造から、中身の詰まった形になります。

なりました!MeshMixerありがとう。ここまで来るのに、調べたりですごい時間がかかった。。。

1-5モデルの修正

3Dプリンターで印刷することを見据えて、このモデルに印刷に不都合がないかチェックする。左のAnalysisを押して、Inspectorを押す。

すると、穴が開いたところがあることを教えてくれました。Auto Repair Allを押して、直してもらいます。その後、Doneを押す。

1-6モデルのエクスポート

モデルが出来上がったので、Blenderに移行したい。左のエクスポートから、ファイルをエクスポートする。ファイル形式は、stlでもobjでもいいと思いますがとりあえずobjで保存します。3D印刷ならstlで。

2 Blender

2-1手のobjファイルインポート

Blenderを開いて、ファイル→インポート→objを押して、さきほど作ったobjファイルをインポートします。

手が、中心ではないところにいるので、真ん中に連れてきましょう。手を選択して、原点を設定、ジオメトリを原点に移動をおしてください。

回転はR、移動はGです。真ん中に持ってきました!ちなみに最初からあった立方体は選択して、Deleteで消しました。

2-2円柱を作成

円柱を作ります。Shitf + Aを押して メッシュ→Cylinderを押します。

すると円柱が生まれました。

円柱のサイズを変えます。Sでサイズ変更です。Sを押した後に、ZやX、Yを押すことで軸を固定してサイズを変更できます。Sだけだと、全体が拡大するだけですが、軸固定することで、円柱を長くできます。

Rで回転して、人差し指に重ねました。

2-3円柱と手でブーリンアン演算

ブーリアン演算とは、重なった部分を削除したり、重なった部分だけを取り出したりする機能です。円柱を選択した状態で、右側のペンチのマークを押してください。モディファイア―を追加を押してください。

ブーリアンを選択します。

差分が選択さされている状態で、オブジェクトの右側のスポイトのアイコンを押して、手をクリックしてください。円柱と、どのオブジェクトを使って計算するかをBlenderに教えています。この場合は、手を使って計算するので手を選択します。

手を選択すると、オブジェクト名が表示されます。

Booleanの右側の下矢印を押してください。すると、適用という文字がでてくるので、それを押してください。

適用を押した後です。外観は変化ありませんでした。果たしてできているのでしょうか。

円柱を移動させたところです。うまく円柱が指の形にくりぬかれています。

ワイヤーフレームで、円柱を見たところです。中身がうまく切り抜かれていそうです。

2-4円柱を半分にカット

指の下側は正確なモデルが出来ていません。円柱の下側をカットしたいと思います。また、下半分がないことでギプスの指への取り付け取り外しが簡単になるでしょう。

円柱を選択して、Gで移動させ真ん中に持ってきます。

左上のところを「オブジェクトモード」から「編集モード」に変更してください。

円柱の点が選択がされていないので、キーボードのLを押します。すると、円柱の全ての点が選択されて黄色くなります。

左側の青くなっている立方体のマークを左クリック長押しすると、二等分というアイコンが出てきます。それをクリックします。

下の写真の右上のところに小さい 左矢印が見えると思います。そこをクリックして、パネルを引き出してください。

そうすると、パネルがでてきます。ツールというタブを選んで、フィル・内側をクリアを選択します。フィルは切断面を面で埋める機能、内側は切った内側をなくす機能です。切ってみて、思ったのと逆側がなくなってしまう場合には、外側をクリアを選択してください。

左から右に線をひいたら、その線で円柱を分断できます。以下は2等分を実施したところです。

2等分を実施した円柱の下からの図です。

2-5モデルのエクスポート

最後はモデルをエクスポートします。ギプスだけ必要な場合は、この段階で手を削除しておきます。左上のファイル→エクスポート→Stlを選択してください。これで、3Dプリンターで印刷できるはずです。

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