橈尺骨骨折は小型犬で多く、橈骨の細さのために再骨折を繰り返しやすいです。人用のプレートは大きく、ちょうどよい商品の選択肢は少ないです。プレートを付けて数カ月が経ち、骨が癒合したと思って抜プレートをすると骨にネジ穴ができてしまい、そこから再骨折してしまうというケースもあります。非常に悩ましいですね。
以前、橈骨尺骨のプレートでこんなのはどうだろうと思って考えたことがありました。それをCADの技術がついてきたので作ってみたいと思います。なお、作って気が付いたのですが、このモデルは抜プレートが難しいです。外すには、プレートの細い部分を切断しないといけません。残念ながらあまり使えない気がしますが、とりあえず作り方のメモだけします。
今回は、embodi3Dというサイト(https://www.embodi3d.com/)から犬のCTデータサンプルをダウンロードして、CTから橈骨と尺骨をSTLで取り出してモデリングしました。
注意:この取組は思考実験であり、臨床利用はしていません。
まず、正常の橈骨と尺骨です。
これを、CADソフトであるFusion360で、斜骨折させてみます。この骨折のプレートを設計したいと思います。
1.3DSlicerで橈骨と尺骨をそれぞれSTL化
CT-MRI等のDICOMビューア3D Slicer(無料)の使い方 | 獣医 x プログラミング (jpn.org)
2.MeshMixerでソリッドボディ化 + Auto repair all でモデル修正
オーダーメイドプレートをCT3Dから作成 | 獣医 x プログラミング (jpn.org)
3.Autodesk Fusion 360 でプレートの設計
上記の記事や以前の記事で、Fusionの使い方を詳しく描いています。今回は応用編です。今回、説明を端折っているところもありますのでわからないところがあれば、過去の記事を参考にして下さい。
作業平面を作ります。オフセット平面をつくり、プレートの上下の位置に面を張ります。
面にスケッチ。断面を表示させるには、スケッチパレット上のスライスにチェックを入れる。
断面にそって、スプラインで線を引く。その後、オフセットをして断面から1mm離れた線を引く。その後、3mm離れた線を引く。その差、2mmとなるのでそれがプレート厚になる。
3面に、同様のことをした。
スケッチをロフトで、つなぐ。
ロフトでつないでいるところ。3㎜と1㎜のスケッチの間をロフトでつなぎたいが、内側が中身の詰まった形でできてしまう。
そのため、断面のスケッチを使って、再度ロフトを作り、操作を切り取りにして、中身をくりぬく。
骨から1mm離れた状態のプレートができた。骨折部に血流がいかないので、プレートに窓をあける。
3点を通過する平面をつかって、作業面を作る。プレートの楕円の長軸方向に合わせて面を作った。
またオフセットを使って、プレートの厚みが3㎜残るようにした。
点を均等にする方法のメモ。線分に点を打つ。そして、線分の検査をして長さを図る。
スケッチ寸法で、点と点の距離を出して、 先ほどの線分の長さ÷分割したい数 を記入することで、ちょうどいい長さになる。
こういったスケッチを描いた。
押し出しを使って、切り抜きを行う。
断面を見るといい感じで骨から距離が均等に取れています。
ネジ穴を作ります。そのために、面を作ります。ぴったし張り付く面を作りたかったが、作り方がわからなかった。地道に、面をつくって、回転移動で丁度良いところに持ってきた。
この後、穴あけを使って完成!!